白樺あれこれ

 こちらでは、白樺についての雑学や

 自分の目で確かめ、気付いた内容を中心に記載しています。

最終更新日:2024/1/5


白樺について

白樺は、「白い樺(カンバ)」から『シラカバ・シラカンバ』 アイヌ名では『レタッ・タッニ(白いカバ皮の木)』とも呼ばれます。

 

私が住んでいる地域(北海道十勝)では一番身近な樹木で、帯広市では市の木が白樺でもあります。

その景観の良さから街路樹や公園の並木道、農地での防風林としてもよく見かけることができます。山地や河川でも野生の白樺が多く、トレッキングや釣りへ行くとすぐ出会うことができます。

 

伐採跡地や山火事跡などの裸地でも真っ先に生えてくるたくましい生命力を持っている白樺は「先駆樹種(パイオニアツリー)」とも呼ばれることがあります。

 

落葉高木である白樺は、樹高20m、直径40~60cm程まで成長します。

寿命は60~80年程で、樹木としての寿命は短いほうです。

 

白樺の森には清涼感があるというイメージがありますが、それは樹木からは「フィトンチッド」と呼ばれる香気成分が放出されているためです。その成分には殺菌・殺虫作用があり、香りは癒しや安らぎも与えてくれるため森林浴にも最適です。

 

幹の表面には「ベチュリン」という有機化合物(白い粉)が含まれており、それがシラカバの幹を白くみせています。このベチュリンにも抗菌作用があります。さらに白樺の樹皮には防腐性もあり、倒れた白樺の内側の材は朽ちていても樹皮の部分だけ腐らず残っている姿を山登りなどするとよくみかけることが出来ます。

 

白樺の老木の樹皮は褐色を帯びていく 十勝牧場にて
白樺の老木の樹皮は褐色を帯びていく 十勝牧場にて

【白樺の葉】

 

葉の形は、三角形に近い形(三角状広卵形)をしており大きさは5cm程です。側脈の数は6~8対。

葉は短枝から2対ずつ対生して生えます。十勝では桜の開花と同じ5月上旬頃からいっせいに顔をだし始めます。

葉の色は、春から夏は生き生きした緑色。秋には黄色や赤色など鮮やかに色づきます。 

 

北欧では葉を原料に作られたお茶も飲まれています。抽出されたエキスにはビタミンCやミネラルなどが豊富に含まれており、さまざまな効用があるといわれています。

 


【白樺の種】

 

果穂についた種が、夏の終わりから秋にかけて新天地を求めて飛んでいきます。

種には蝶々のような翼がついており、風に舞って飛んでいきやすい形状をしています。

 


【白樺の幹】

 

幼木のころ幹の色は茶色ですが、樹齢が7、8年経つと表面の樹皮は白く白樺らしい樹肌に変わっていきます。古くなるほど褐色を帯びていきます。

 

白樺の幹は柔軟で材としての利用価値は低いといわれていますが、わりばし、爪楊枝、アイスのスプーン、マッチの軸、彫刻材、薪、おがくずなど、身近なものにも利用されています。

皮がついたまま伐採してしまうと中の材は腐っていってしまいますが、皮を剥がした後しっかり乾かすと驚くほど長命に材が保たれるとも言われます。

 

樹皮や根っこは細工物の材料や染色にも古くから使われています。

 


【白樺の樹液】

 

白樺からは樹液を抽出することもできます。

色は透明に近く、味はほのかに甘くとても飲みやすいです。効用としては美容や健康に良いとされ、古来よりロシアや北欧や中国などで愛飲されていました。ヒトの表皮の保湿を促進する効用があることから化粧品にも利用されています。

 

春先にしか抽出できない樹液は貴重ですが、最近ではインターネットでも購入できます。

十勝では、大樹町にある『インカルシペ白樺』で購入することができます。オリジナルの白樺茶も販売しています。こちらもほんのり甘く非常に飲みやすかったです。

 


【白樺の不思議】

 

真冬には凍裂(とうれつ)を起こすことがあります。

凍裂とは、北海道など寒さの厳しい地域で樹木が裂ける現象のことをいい、マイナス25℃くらいから発生するといわれています。

私が住んでいる地域でもみかけることができます。凍裂を起こした白樺を観察すると、若い白樺よりも太く年数が老いた白樺に多くみられました。下写真の樹齢30年以上の白樺ですが、寒さの厳しい年月をそれだけ長く生き抜いてきたからかもしれません。

 


【白樺の樹皮はとても貴重】

  

樹皮は、初夏など樹木が肥大成長する限られた季節に剥がしやすくなりますが、形成層部分から剥がすと再生しないとても貴重な素材です。

 

写真は河川敷や公園で発見した形成層から剥がされた白樺の幹。

剥がされてから数年は経っていますが、樹皮は再生せず表面はゴツゴツとした状態になってしまっています。